老化のサイン

日常生活における活動性が低下することによって、全身の心身機能が低下することを「廃用症候群」又は「生活不活発病」といいます。
また、年をとることによる「老化」によって機能が低下することを「老年症候群」といいます。「老年症候群」や、「廃用症候群」は、初めのうちは自覚症状がなく、知らず、知らずのうちに進行します。
初めのうちは、「動くのがおっくうだな…」「転びやすくなったな…」ということから、外出を控えるようになり、その結果、運動不足になります。運動不足になると、筋力等の運動機能はどんどん低下し、ますます動きにくい体となり、最終的には寝たきりになってしまうこともあります。

「老年症候群」や「廃用症候群」は、あまり自覚症状がなく、知らず、知らずのうちに進行します。

例えば、「少し動きにくくなったな」、「物忘れをするようになったな」と危険な老化のサインがある場合は、「歳のせいだから仕方ない」と諦めずに、早めに対応することで、介護予防が可能になります。

  廃用症候群又は生活不活発病とは

人間の身体的・精神的機能は使わないと衰えて行くことが知られています。
健康な人であっても、ベッド上で安静臥床を続けていると、下肢の筋力は1週目で20%2週目で40%3週目で60%も低下すると言われています。さらには、体中の関節が硬くなり、体を起こそうとするとめまいがして(起立性低血圧と言います)座ることや歩くことができなくなってしまいます。その他にも使わないことによって出現する症状としては、「骨が弱くなる」、「心臓や肺の機能が低下する」、「床ずれ」、「痴呆や抑うつなどの精神症状」など非常に多く、「廃用症候群」又は「生活不活発病」と呼ばれています。廃用症候群は、過度な安静など日常生活の活動量が低下したときに生じますが、これが寝たきりになる大きな原因と考えられているのです。


  廃用症候群又は生活不活発病は健康な人にでも起こります

一般的に体は使うことでその部位に筋肉がつき、鍛わり筋力が上がります。しかし、逆に使わない機能は衰えていきます。使わない筋肉の萎縮、関節拘縮はみなさんが思っているよりも速く進行します。よく、「昔と比べて体力落ちたー」という方を見かけることがありますが、それでも私たちは、毎日起きて動いています。それが全くできなくなってしまった場合の機能低下は想像以上に早いのです。低下するスピードが速いことに比べ、それを元の状態へ回復させるのは、予想以上に時間がかかります。一週間で失われた20%の筋力を元に戻すには、約1ヶ月かかるといわれています。また、安静によって起こる障害は筋肉や関節だけではありません。臓器にも影響を及ぼします。この廃用症候群には、リハビリを行っていくことが大切です。何もしないとどんどん低下する悪循環が起こります。リハビリ、そしてまず、廃用症候群にならないための予防を行なっていくことが重要です。

 

  廃用症候群又は生活不活発病の予防

脳梗塞等の病気の後遺症に伴い、自分の力だけでは身体を動かすことが困難になったりした場合、廃用症候群に陥りやすくなります。廃用症候群によって、運動機能障害が起こり、筋萎縮や筋力の低下、関節の拘縮なども進行し、ますます身体を動かすことが困難になるという悪循環が起きるわけです。ですから、病状が安定したら、少しでも身体を動かして運動機能の低下を防ぐことが大切です。後遺症の程度にもよりますが、寝返りも困難な場合でも、定期的に寝返り介助してもらう、脚や手のマッサージを行なって血液の循環を促すなど、なるべく身体を動かすことが大切です。